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学習支援計画書(シラバス) 検索システム
専門教育課程 電気電子工学科(2018年度入学〜)
授業科目区分 科目名 単位数 科目コード 開講時期 履修方法
専門教育課程
専門科目
専門
高電圧パルスパワー工学
High-Voltage Pulsed Power Engineering
2 E617-01 2023年度
4期(後学期)
修学規程第4条を参照
担当教員名
*印は、実務経験のある教員を示しています。
授業科目の学習・教育目標
キーワード 学習・教育目標
1.電界強度 2.絶縁破壊前駆現象 3.絶縁破壊現象 4.高電圧発生装置 5.高電圧応用装置 電気エネルギー・制御技術とそれを支える材料・デバイスに関する基礎知識を修得し,それ らを具体的に活用できる。電力輸送機器には気体・液体・固体・複合誘電体が利用され,そ れらは常に高電圧環境下にある。本科目では,電気回路や電気磁気学の科目で得た知識をも とに,高電圧環境下で生じる諸現象の基本的特性を理解し,気体・液体・固体・複合誘電体 で生じる放電現象とそのメカニズム,高電圧の発生と計測法を学ぶ。また,電気集塵機やオ ゾン発生装置といった高電圧応用機器も学ぶ。
授業の概要および学習上の助言
 この授業では,高電圧環境下で生じる放電の基礎現象,放電特性と放電のメカニズム,高電圧パルスパワーの発生法と測定 法,及び高電圧応用機器について学習する。 1.各種の電極構成によって形成される電界の導出法を学ぶ。 2.気体の放電現象に関して以下のことを学ぶ。  a) 気体の状態と原子の熱運動,電界中に存在する荷電粒子の運動,励起・電離現象などの基礎的現象  b) 気体の絶縁破壊前駆現象(タウンゼント理論(α作用,γ作用),ストリーマ理論など)  c) 気体の絶縁破壊特性(パッシェンの法則,各種自続放電現象,放電の観測法など) 3.液体と固体中の放電現象に関して以下のことを学ぶ。  a) 液体,固体の誘電特性  b) 絶縁破壊前駆現象(電気伝導特性,コロナ放電現象,沿面放電現象,トリーイング現象など)  c) 液体,固体の絶縁破壊特性と主な絶縁破壊理論 4.高電圧パルスパワーの発生法と測定法,及び絶縁試験法を学ぶ。 5.高電圧工学と応用技術の関わりと重要性を学ぶ。  この科目で学ぶ「高い電界強度によって起こる現象」の知識は,電力・電機分野(例えば「電気エネルギー発生工学」,「 電気エネルギー伝送工学」,「電気機器」)のみならず集積回路や半導体などのエレクトロニクス分野にも欠かせない。
教科書および参考書・リザーブドブック
教科書:基礎からの高電圧工学[日新出版(株)] 参考書:高電圧工学[森北出版(株)]、誘電体現象論 改訂版[オーム社]、高電圧プラズマ工学[丸善(株)] リザーブドブック:指定なし
履修に必要な予備知識や技能
 「電気磁気学(静電界)」,「電気回路(整流回路)」,「過渡現象論(R-C回路,R-L-C回路)」,「電気機器(変圧器) 」の予備知識が必要である。
学生が達成すべき行動目標
No. 学科教育目標
(記号表記)
L 各種の電極構成で生じる電界強度を解析式から計算できる。
L 電界中に存在する荷電粒子の運動を理解し、放電の基礎現象を概略的に説明できる。
L タウンゼント理論とパッシェンの法則を数式的に説明でき、ミークのストリーマ理論を図式的に説明できる。
L 液体・固体誘電体中の電気伝導特性と放電特性を理解し、気体中の特性と相違する点を概略的に説明できる。
L 交流・直流・インパルス高電圧の発生法と測定法を回路図から説明でき、主な絶縁試験法を概略的に説明できる。
L 気体・液体の高電圧応用技術を例示して概略的に説明できる。
達成度評価
評価方法
試験 クイズ
小テスト
レポート 成果発表
(口頭・実技)
作品 ポートフォリオ その他 合計
総合評価割合 40 30 30 0 0 0 0 100
指標と評価割合 総合評価割合 40 30 30 0 0 0 0 100
総合力指標 知識を取り込む力 20 15 20 0 0 0 0 55
思考・推論・創造する力 20 15 10 0 0 0 0 45
コラボレーションと
リーダーシップ
0 0 0 0 0 0 0 0
発表・表現・伝達する力 0 0 0 0 0 0 0 0
学習に取組む姿勢・意欲 0 0 0 0 0 0 0 0
※総合力指標で示す数値内訳、授業運営上のおおよその目安を示したものです。
評価の要点
評価方法 行動目標 評価の実施方法と注意点
試験 2回実施する(20%/回)  第1回目の試験は,“前半”の授業に対して達成度を調べる試験とする。  第2回目の試験は,“後半”の授業に対して達成度を調べる試験とする。
クイズ
小テスト
2回実施する(15%/回)  第1回目の小テストは,”電極間の静電界”と”放電の基礎”の授業に対して理解度を確認する小テス トとする。  第2回目の小テストは,”液体と固体の電気伝導と絶縁破壊現象”の授業に対して理解度を確認する小 テストとする。
レポート 小テストや試験のタイミングに合わせて適宜実施する。  原則,教科書の章末「演習問題」から出題する。
成果発表
(口頭・実技)
作品
ポートフォリオ
その他
具体的な達成の目安
理想的な達成レベルの目安 標準的な達成レベルの目安
●各種電極配置で生じる電界強度を計算し応用できる。 ●気体粒子の熱運動速度,荷電粒子の平均自由行程を計算でき ,気体放電に関連の基礎現象や相似則を説明できる。 ●タウンゼント理論とパッシェンの法則を数式的に証明でき, 絶縁破壊過程をストリーマ理論から図式的に説明できる。 ●気体中の自続放電現象と放電観測法を説明でき応用できる。 ●液体,固体中の絶縁破壊前駆現象(電気伝導特性,コロナ放 電現象,トリーイング現象など)を説明できる。 ●液体,固体の絶縁破壊特性と絶縁破壊理論を説明できる。 ●高電圧パルスパワーの発生法と測定法,及び絶縁試験法を説 明でき応用できる。 ●高電圧の応用技術を例示して具体的に説明できる。 ●各種電極配置で生じる電界強度を計算できる。 ●気体放電に関連の基礎現象や相似則を概略説明できる。 ●タウンゼント理論とパッシェンの法則を数式的に説明でき, 絶縁破壊過程をストリーマ理論から概略説明できる。 ●気体中の自続放電現象と主な放電観測法を概略説明できる。 ●液体,固体中の絶縁破壊前駆現象(電気伝導特性,コロナ放 電現象,トリーイング現象など)を概略説明できる。 ●液体,固体の絶縁破壊特性を概略説明でき,主な絶縁破壊理  論を列挙できる。 ●高電圧パルスパワーの発生法と測定法,及び絶縁試験法を概 略説明できる。 ●高電圧の応用技術を例示して簡単に説明できる。
CLIP学習プロセスについて
一般に、授業あるいは課外での学習では:「知識などを取り込む」→「知識などをいろいろな角度から、場合によってはチーム活動として、考え、推論し、創造する」→「修得した内容を表現、発表、伝達する」→「総合的に評価を受ける、GoodWork!」:のようなプロセス(一部あるいは全体)を繰り返し行いながら、応用力のある知識やスキルを身につけていくことが重要です。このような学習プロセスを大事に行動してください。
※学習課題の時間欄には、指定された学習課題に要する標準的な時間を記載してあります。日々の自学自習時間全体としては、各授業に応じた時間(例えば2単位科目の場合、予習2時間・復習2時間/週)を取るよう努めてください。詳しくは教員の指導に従って下さい。
授業明細
回数 学習内容 授業の運営方法 学習課題 予習・復習 時間:分※
1回 【オリエンテーション】 授業の進め方を理解する。 【第1章 高電圧工学と放電現象】 放電現象のイメージを掴み,高電圧工学を学ぶ意義を 学ぶ。 【第2章 電極間の電界(1)】 静電界の基本法則を復習し,平等電界や不平等電界を 形成する電極の種類と電界強度の解析方法を学ぶ。 講義と質疑 教科書(pp.1-29)を読み,平行 平板電極,球ギャップ,同軸円筒 電極,針端ギャップの電界強度を 計算できるようにする。 200
2回 【第2章 電極間の電界(2)】 電極間に異なる誘電体が存在する場合の電界強度の解 析方法を学ぶ。 講義と質疑 教科書(pp.29-32)を読み,電極 間に異なる誘電体が存在する場合 の電界強度を計算できるようにす る。 200
3回 【第3章 物質の性質と放電の基礎(1)】 物質の構造と性質,気体粒子の振る舞いを学ぶ。 講義と質疑 教科書(pp.35-54)を読み,原子 の構造とその性質,気体の状態方 程式,粒子相互の衝突,粒子の平 均自由行程,電子のドリフト速度 に関する相似則を説明できるよう にする。 200
4回 【第3章 物質の性質と放電の基礎(2)】 荷電粒子の発生と消滅を学ぶ。 講義と質疑 教科書(pp.55-66)を読み,励起 と電離,電子付着と再結合,プラ ズマ現象,電極(金属)表面から の電子放出を説明できるようにす る。 200
5回 【第1〜3章】 小テスト1の実施と解説。 【第4章 気体中の電気伝導と絶縁破壊現象(1)】 気体中の電気伝導とタウンゼントの絶縁破壊理論(前 半)を学ぶ。 小テスト・解説 講義と質疑 ・行動目標①と②を達成できるよ う,1-3回目の学習内容をしっか りと復習しておく。 ・教科書(pp.68-73)を読み,気 体の電気伝導現象,衝突電離作用 (α作用),α係数と換算電界( E/pまたはE/n)の関係を説明でき るようにする。 200
6回 【第4章 気体中の電気伝導と絶縁破壊現象(2)】 タウンゼントの絶縁破壊理論(後半),パッシェンの 法則,ストリーマ理論を学ぶ。 講義と質疑 教科書(pp.73-82)を読み,γ作 用,タウンゼントの絶縁破壊理論 ,パッシェンの法則,ストリーマ 理論を説明できるようにする。 200
7回 【第4章 気体中の電気伝導と絶縁破壊現象(3)】 気体中で発生する色々な放電現象を学ぶ。 講義と質疑 教科書(pp.82-113)を読み,コ ロナ放電,極性効果,グロー放電 ,アーク放電,絶縁破壊電界のギ ャップ長依存性,インパルス電圧 ,雷放電,高真空中での放電現象 ,高周波放電現象を概略的に説明 できるようにする。 200
8回 【第4章 気体中の電気伝導と絶縁破壊現象(4)】 気体/固体複合構造で生じる放電現象と放電現象の観 測方法を学ぶ。 講義と質疑 教科書(pp.113-121)を読み,沿 面放電,誘電体バリア放電,放電 現象の観察法(特に,光学的観測 法)を説明できるようにする。 200
9回 【第1〜4章】 振返り授業と中間試験の実施・解説。 【第5章 液体と固体中の電気伝導と絶縁破壊現象(1 )】  液体誘電体の電気伝導現象を学ぶ。 振返り授業 試験・解説 講義と質疑 ・行動目標①-③を達成できるよ う,1-7回目の学習内容をしっか りと復習しておく。 ・教科書(pp.124-133)を読み, 高電圧絶縁を目的とした主な液体 誘電体,平等電界中の電気伝導特 性,不平等電界中の電気伝導特性 を説明できるようにする。 200
10回 【第5章 液体と固体中の電気伝導と絶縁破壊現象(2 )】  液体誘電体の電気伝導と絶縁破壊現象を学ぶ。 講義と質疑 教科書(pp.133-140)を読み,絶 縁油の絶縁耐力とその測定方法, 不純物や溶解ガスの影響,絶縁破 壊理論(電子的破壊説,気泡破壊 説)を説明できるようにする。 200
11回 【第5章 液体と固体中の電気伝導と絶縁破壊現象(3 )】  固体誘電体の電気伝導と絶縁破壊現象を学ぶ。 講義と質疑 教科書(pp.140-159)を読み,誘 電分極と誘電損,誘電体吸収と漏 れ電流,電気伝導特性,絶縁破壊 現象(長時間破壊(部分放電,ト リーイング),短時間破壊(熱的 破壊,電子的破壊)),帯電現象 (表面電位,流動帯電)を概略的 に説明できるようにする。 200
12回 【第5章】 小テスト2の実施と解説。 【第6章 高電圧の発生,計測,電気絶縁試験(1)】  交流高電圧の発生方法を学ぶ。 小テスト・解説 講義と質疑 ・行動目標④を達成できるよう, 8-10回目の学習内容をしっかりと 復習しておく。 ・教科書(pp.162-165)を読み, 試験用変圧器,縦続接続,直列共 振法による交流高電圧出力を計算 できるようにする。 200
13回 【第6章 高電圧の発生,計測,電気絶縁試験(2)】 ・ 直流高電圧とインパルス高電圧の発生方法を学ぶ 。 ・ 高電圧・大電流の測定法を学ぶ。 ・ 電気絶縁試験を概要的に学ぶ。 講義と質疑 教科書(pp.165-176)を読み,コ ッククロフト・ウォルトン回路に よる直流高電圧出力や多段式イン パルス電圧発生回路によるインパ ルス高電圧出力を計算できるよう にする。また,高電圧や大電流の 測定に不可欠な分圧器,分流器, 変流器(CT)の特徴を説明できる ようにする。さらに,絶縁特性試 験と絶縁耐力試験の種類や特徴を 概略的に説明できるようにする。 200
14回 【第5,6章】 振返り授業と期末試験の実施・解説。 振り返り授業 試験・解説 質疑 行動目標④と⑤を達成できるよう ,8-13回目の学習内容をしっかり と復習しておく。 200
15回 【第7章 高電圧工学を利用した応用技術】  高電界,静電気,放電現象が応用された装置を学ぶ 。 【自己点検授業】  提出物の返却・解説,成績確認,自己点検,授業ア ンケート。 講義と質疑 評価結果の伝達 授業アンケートの実施 ・教科書(pp.178-183)を読み, 電子顕微鏡,電気集塵機,オゾン 発生装置などへの応用例を概略的 に説明できるようにする。 ・返却物の解説を通じて,「理解 できたところ」と「理解が不十分 だったところ」を把握し,今後の 活動に活かす準備をする。 200