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学習支援計画書(シラバス) 検索システム
専門教育課程 応用化学科
授業科目区分 科目名 単位数 科目コード 開講時期 履修方法
専門教育課程
専門科目
専門
無機化学
Inorganic Chemistry
2 B005-01 2024年度
2期(後学期)
修学規程第4条を参照
担当教員名
*印は、実務経験のある教員を示しています。
授業科目の学習・教育目標
キーワード 学習・教育目標
1.電子配置 2.原子軌道 3.化学結合 4.固体の構造 5.酸と塩基  無機化学の基礎を学ぶ。化学の学習を進める上で最低限必要な原子の構造(電子配置、原 子軌道)、化学結合、固体の構造に関する基本的概念を修得し、専門用語の意味を理解する 。さらに化学的性質の一部は、電子構造等から理論的に説明できることを理解する。修得し た知識をもとに、簡単な計算問題を演習する。  ここで新しく学ぶ概念や理論は、無機化合物の性質や反応性を理解するために必要不可欠 となる。
授業の概要および学習上の助言
 現在の「無機化学」を理解するために必要不可欠な概念を講義する。本講義の内容を理解することで、ほぼ無限に存在する 各種無機化合物の構造と性質(無機化学の各論と言う)を自学自習できる能力を身につける。 1.原子の構造    電子配置と原子軌道、周期表と元素のブロック分類 2.結合と構造    共有結合と点電子式(ルイス構造)、イオン結合、金属結合、ファンデル・ワールス結合、水素結合    原子半径とイオン半径、ランタニド収縮    ボルン・ハーバーサイクル、マーデルング定数    金属結晶(六方最密構造、立方最密構造、体心立方構造)    イオン性結晶(岩塩型、塩化セシウム型、閃亜鉛鉱型)とイオン半径比    イオン化エネルギーと電子親和力、電気陰性度とイオン結合性、共有結合性    分子軌道法(HOMOとLUMO)    粉末X線回折による構造解析 3.反応    酸と塩基の定義(アレニウス、ブレンステッド・ローリー、ルイス)、硬い酸・塩基、やわらかい酸・塩基
教科書および参考書・リザーブドブック
教科書:わかりやすい大学の無機化学[培風館] 参考書:指定なし リザーブドブック:指定なし
履修に必要な予備知識や技能
本科目で学習する無機化学の基本的内容は、物理化学、分析化学、有機化学などの学習にも役立つ。
学生が達成すべき行動目標
No. 学科教育目標
(記号表記)
I,L,N,O 原子軌道(s軌道、p軌道、・・・)を理解し、周期表上の各元素を見て、電子配置を記すことができる。
I,L,N,O 原子半径、イオン半径、電気陰性度について、周期表上での増減の傾向とそのおおまかな理由を説明できる。
I,L,N,O ボルン・ハーバーサイクルを利用して、格子エネルギーを計算できる。
I,L,N,O 岩塩型、塩化セシウム型など代表的な結晶構造を図示でき、イオン半径比との関係を説明できる。
I,L,N,O X線回折の原理を理解し、反射指数とθとdを使った計算ができる。
I,L,N,O アレニウス、ブレンステッド、ルイスによる酸・塩基の各定義を理解し、反応式でどれが酸で、どれが塩基か説明できる。
達成度評価
評価方法
試験 クイズ
小テスト
レポート 成果発表
(口頭・実技)
作品 ポートフォリオ その他 合計
総合評価割合 40 50 0 0 0 0 10 100
指標と評価割合 総合評価割合 40 50 0 0 0 0 10 100
総合力指標 知識を取り込む力 15 30 0 0 0 0 0 45
思考・推論・創造する力 15 10 0 0 0 0 0 25
コラボレーションと
リーダーシップ
0 0 0 0 0 0 0 0
発表・表現・伝達する力 5 0 0 0 0 0 5 10
学習に取組む姿勢・意欲 5 10 0 0 0 0 5 20
※総合力指標で示す数値内訳、授業運営上のおおよその目安を示したものです。
評価の要点
評価方法 行動目標 評価の実施方法と注意点
試験 対面の最後の週となる第12週に実施する予定。時間は75分で、6つの行動目標に沿った内容で出題す る。行動目標が達成できているかが確認できる論述問題、計算問題を中心に出題する。専門的な知識を自 分のものとして活用できるかが重要なので、教科書、参考書などの持込は不可とする。内容は講義、毎回 実施した小テストに準じて出題する。
クイズ
小テスト
小テストは原則として毎回、実施する。授業終了後に当日の授業内容について,e-シラバス経由で出題し ,期限までに提出することとする。普段から学習習慣を付けるために、毎回の復習時間は2〜4時間を目 安にして欲しい。
レポート
成果発表
(口頭・実技)
作品
ポートフォリオ
その他 的確な質問の有無、授業態度、出席状況など普段の学習姿勢も評価の対象とする。
具体的な達成の目安
理想的な達成レベルの目安 標準的な達成レベルの目安
電子配置、原子構造、電気陰性度、イオン化エネルギー、原子 半径、イオン半径、原子軌道、分子軌道、酸と塩基の定義など の無機化学の入門分野について、化学系の会社の入社試験問題 、公務員試験の化学の問題、大学院入試問題として一般に出題 される問題を解くことができる。 電子配置、原子構造、電気陰性度、イオン化エネルギー、原子 半径、イオン半径、原子軌道、分子軌道、酸と塩基の定義など の無機化学の入門分野について、化学系の会社の入社試験問題 、公務員試験の化学の問題、大学院入試問題として一般に出題 される問題を、参考書、辞典などを参照しながら十分に時間を かければ解くことができる。
CLIP学習プロセスについて
一般に、授業あるいは課外での学習では:「知識などを取り込む」→「知識などをいろいろな角度から、場合によってはチーム活動として、考え、推論し、創造する」→「修得した内容を表現、発表、伝達する」→「総合的に評価を受ける、GoodWork!」:のようなプロセス(一部あるいは全体)を繰り返し行いながら、応用力のある知識やスキルを身につけていくことが重要です。このような学習プロセスを大事に行動してください。
※学習課題の時間欄には、指定された学習課題に要する標準的な時間を記載してあります。日々の自学自習時間全体としては、各授業に応じた時間(例えば2単位科目の場合、予習2時間・復習2時間/週)を取るよう努めてください。詳しくは教員の指導に従って下さい。
授業明細
回数 学習内容 授業の運営方法 学習課題 予習・復習 時間:分※
1 配布するシラバスと教科書をもとに、学習内容の概要 を理解する。無機化学とはどういった学問分野かを理 解する。元素の発見について学習し、原子番号、質量 数などの基本事項を理解する。原子中の電子配置につ いて理解する。K殻、L殻、M殻・・・で表されてい た電子殻が、さらにs軌道、p軌道、d軌道、f軌道 の原子軌道に分かれていることを学習する。電子配置 の条件の「パウリの原理」、「フントの規則」につい て理解する。 講義と質疑、演習、小テスト 学習支援計画書を読んで、まだ意 味のわからない専門用語をチェッ クしておく。s軌道、p軌道、d 軌道の形と各軌道に収容できる電 子数を説明できるようにする。 180
2 周期表上の各原子について、電子配置を軌道エネルギ ー順に配置する方法を理解する。それによって元素が sブロック元素、pブロック元素、dブロック元素、 fブロック元素に分類されることを理解する。典型元 素と遷移元素の分類を電子配置から理解する。ルイス 構造(点電子式)による共有結合の表し方を学習し、 この方法では表記できない化合物があることを知る。 イオン結合、金属結合、ファンデルワールス結合、水 素結合の概要を理解する。 講義と質疑、演習、小テスト 原子番号を指定されたら、軌道エ ネルギー順に電子を充填し、電子 配置を記せるようにする。共有結 合性物質について点電子式を用い て、ルイス構造で表すことができ るようにする。 180
3 原子半径、イオン半径が原子番号の増加につれて、ど う変化するかを理解し、その傾向が有効核荷電などか ら定性的に説明できることを学ぶ。第6周期の原子半 径が第5周期とほとんど同じなのはランタニド収縮に よるものであることを理解する。格子エンタルピー( 格子エネルギー)とは何かを理解する。格子エンタル ピーがボルンハーバーサイクルを利用して、他の段階 のエンタルピー変化から計算できることを学ぶ。 講義と質疑、演習、小テスト 周期表上での原子半径、イオン半 径の増減の傾向について、理由を 含めて説明できるようにする。ラ ンタニド収縮について説明できる ようにする。実際に生成エンタル ピーなどの値を用いて、格子エネ ルギーを計算できるようにする。 180
4 マーデルング定数とは何かを理解する。岩塩型、塩化 セシウム型など実際の結晶構造について、マーデルン グ定数を計算するプロセスを理解する。金属結晶の代 表的な構造である六方最密格子、立方最密格子、体心 立方格子について学習する。立方最密格子が見方を変 えると面心立方格子になることを理解する。単位格子 中の原子数の数え方を理解し、単位格子から密度を計 算する方法を学習する。 講義と質疑、演習、小テスト 岩塩型結晶構造について、実際に マーデルング定数を求める数式を 記し、定数を計算できるようにす る。3種類の格子を描けるように する。単位格子の構造(格子定数 、原子数)から密度を計算できる ようにする。 180
5 イオン性結晶の代表的な構造である岩塩型、塩化セシ ウム型、閃亜鉛鉱型の各結晶構造について学習する。 単位格子から密度を計算する方法を理解する。イオン 性結晶構造では陽イオンと陰イオンが接触し、陽イオ ン同士、陰イオン同士は接触していないことに注意す る。その上で、陽イオンと陰イオンの半径の比率(イ オン半径比)から、とりうる結晶構造が自動的に決ま ることを理解する。 講義と質疑、演習、小テスト 結晶構造を描けるようにする。単 位格子の構造(格子定数、原子数 )から密度を計算できるようにす る。可能なイオン半径比の範囲を 、各結晶構造から計算できるよう にする。 180
6 結晶構造、分子構造を図示する方法には、球を使った 表示、結合表示、多面体を使った表示など様々な方法 があることを理解する。原子番号の増加に対するイオ ン化エネルギーの変化が、有効核荷電などから定性的 に説明できることを学習する。周期表上での傾向を理 解する。 講義と質疑、演習、小テスト 五酸化リンや五塩化モリブデンを 様々な方法で図示できるようにす る。周期表上でのイオン化エネル ギーの変動の傾向を、おおまかな 理由とともに説明できるようにす る。 180
7 電子親和力の意味を理解する。エンタルピー変化と電 子親和力に正負の関係があることを理解する。電子親 和力の周期表上での変動の傾向を理解する。電気陰性 度の意味を理解し、周期表上での変動の傾向を理解す る。F,O,Nが電気陰性度の大きい元素ベスト3で あることを理解し、分子内にこれらを含んだときの挙 動を理解する。電気陰性度がイオン化エネルギーと電 子親和力から定義されることを学ぶ。 講義と質疑、演習、小テスト 電子親和力の意味と周期表上での 変動の傾向を説明できるようにす る。電気陰性度の意味と周期表上 での変動の傾向を説明できるよう にする。 180
8 電気陰性度の差から、イオン結合性、共有結合性の大 小が決定されることを学ぶ。ポーリングやマリケンに よる定義を比較し、HOMO、LUMOの考え方と関 連付ける。分子軌道の概念を理解する。波動関数の2 乗が電子の存在確率に比例すること、および波動関数 には正の部分と負の部分があることを理解する。原子 軌道同士が重なる条件に依存して、結合性分子軌道、 反結合性分子軌道、非結合性分子軌道ができることを 理解する。 講義と質疑、演習、小テスト イオン結合性、共有結合性の大小 を電気陰性度から求めることがで きるようにする。結合性分子軌道 、反結合性分子軌道、非結合性分 子軌道をエネルギー準位を用いて 図示できるようにする。 180
9 エネルギーの同じ分子軌道が2個以上あるとき、「縮 退している」と呼ぶことを理解する。結合性分子軌道 、反結合性分子軌道、非結合性分子軌道、それぞれの 場合の原子軌道の重なり方を理解する。方向性によっ て、シグマ(σ)軌道とパイ(π)軌道があることを 理解する。水素分子、窒素分子、酸素分子、一酸化窒 素の分子軌道のエネルギー準位図を学ぶ。酸素分子が 常磁性であることや、一酸化窒素が常磁性で1価の陽 イオンになりやすいことを分子軌道の図から理解する 。 講義と質疑、演習、小テスト 結合性分子軌道、反結合性分子軌 道、非結合性分子軌道それぞれの 場合について、原子軌道の重なり 方を図示できるようにする。シグ マ軌道とパイ軌道を区別できるよ うにする。水素分子、窒素分子、 酸素分子、一酸化窒素の分子軌道 のエネルギー準位図を描けるよう にする。 180
10 エンタルピー、エントロピー、ギブスの自由エネルギ ーなど熱力学の概念の無機化学での使い方を学ぶ。⊿ G=⊿H-T⊿Sの式の使い方を理解する。 講義と質疑、演習、小テスト 自発的に進む反応かどうかを、⊿ G=⊿H-T⊿S を使用して判 断できるようにする。 180
11 アレニウスの酸・塩基の定義、ブレンステッドの酸・ 塩基の定義をそれぞれ理解する。酸の解離定数からp Hを求める方法を理解する。ハメットの酸度関数の考 え方を理解する。ルイスの酸・塩基の定義を理解する 。硬い酸・塩基、柔らかい酸・塩基の分類について理 解する。硬い、やわらかいを化学的に言い換えるとど ういうことかを学習する。 講義と質疑、演習、小テスト アレニウス、ブレンステッドそれ ぞれの酸・塩基の定義を説明でき るようにする。酸の解離定数から pHを求めることができるように する。 180
12 無機化学の最先端とその工業的応用(1) 無機化学工業,産業技術と無機化学の関係 講義と質疑、演習、小テスト 講義を視聴した後,疑問点を調査 する。 180
13 無機化学の最先端とその工業的応用(2) ファインセラミックス,半導体,産業技術と無機化学 の関係 講義と質疑、演習、小テスト 講義を視聴した後,疑問点を調査 する。 180
14 達成度確認試験(予定),振り返り,復習 試験は持ち込み不可 試験準備を十分に進めること 180
15 達成度確認試験の返却,答え合わせと解説,講評,弱 点・盲点の整理 自己点検,講評,講義,振り 返り 疑問点を調査する 90